アディクション以外の問題

お金を浪費 "できない" 前提

私の経済事情は普通の依存症者とはまったく異なる。大抵の依存症者はお金を浪費することが問題になりやすいが、私の場合はお金が稼げないことと使えないことが問題になり、それがアディクションの中に居座っている。使うお金がそもそも稼げないことが原因にあるので他の依存症者とはスタートラインがまったく違うため、一般的な金銭的対策は当てはめることができない。

お金の自分史

まず、お金に関する自分史を表に記す。

時期月の収入用途概要
小3頃~不明小学館「小学○年生」お小遣いをもらうようになるが金額は覚えていない。
弟によく金を盗まれていたため金欠気味だったことから、弟のようにゲーム等は買えなかった。
小5頃~中学3000円コロコロコミック
コロコロ連載作品の単行本(古本が多い)
コロコロ系のホビー(主にミニ四駆)
お小遣い月3000円。友達がいなかったので交際費ほぼなし。
中学時代にミニ四駆が流行ったことから趣味につぎ込んだが、周りのように超速モーターなどを使ったりしなかった(タミヤ純正にこだわった)。
弟からの盗難は続いていた。
高校5000円ポケカ
コロコロコミック
お小遣い月5000円。毎日の昼食代や部活の試合の交通費は親からもらっていた。
地元でポケカ大会(と言う名のオフ会)が定期的に開催されていたためポケカにつぎ込んだ。
弟からの盗難はなおも続いていた。
また、通学中に何度か恐喝にあって50円ほど奪われたことがあるほか、部活の遠征で朝5時に家を出て近所で恐喝にあって鞄ごと交通費を奪われたことがある。
大学1年前半0円食費
携帯代
サークル交際費
お小遣いなし。バイトが決まらず4~7月の間に面接に13連敗していて、小学生の頃から貯めていたお年玉約10万円を切り崩して生活していたがついに底をついて携帯代が払えなくなり強制解約となる。
交際の頻度は高くない。
大学1年後半4万円食費
携帯代
サークル交際費
サークル(鉄研)で斡旋されている短期バイトで夏合宿(北海道)の費用を貯めて合宿に参加する。旅程に使ったのは主に青春18きっぷと北海道フリーきっぷ。
秋に北千住駅ホームのバイトがやっと決まる。収入は月4万円ほど。
主な用途は大学在学中は食費と交通費(主に信仰上の活動)
大学2年4万円食費
交通費
携帯代
サークル交際費
鉄研斡旋の短期バイトで貯めたお金で九州合宿に行く。駅バイト代の主な用途は食費。携帯代は計画的に使っていたのでパケ死の経験はない。
冬に鉄研をクビになったことがきっかけでアニメにハマり、当時Winampで流れていたアニメを視聴(合法ではない)していた。
大学3年4万円食費
交通費
携帯代
サークル交際費
追加のバイトを探すが決まらないので、当時下落合にあった内外学生センターに出入りして日払いのバイトをやっていたが、朝の駅バイトが平日は毎日ある制約により選択肢が限られてバイトの回数自体が少なかった。下落合に行く交通費が嵩み、お金が尽きてバイトを探せない(バイトに行く交通費がない)こともザラにあった。
アニメのDVDを借りてエンコードして視聴していることが多かったほか、ネット(個人サイト)で知り合った人とオフ会するようになった。
オフ会の交際費の確保は死守した。
大学4年4万円食費
交通費
携帯代
サークル交際費
依然として月収4万円程度。お金がなく、就活の合同説明会にスニーカーで行くなどをして企業の担当者に怒られたりしていた。面接はまったく受からなかった。冬になるにつれてやばいと思い、泣き落としを画策したことがあるが実行しなかった。
信仰上の活動をするお金が足りないので、毎月の合同説明会でもらったクオカードを金券ショップに売って交通費の足しにしていた。
2月にブラック企業(ゲ○ングループ)の半年間無給研修をやらされそうになり、必死に祈って信仰上の活動をした結果、卒業1週間前にコンテンツ制作会社に内定が出た。
22~26歳約25万円食事
交通費
ガジェット(携帯代含む)
新卒で勤めた会社の給料は手取り25万円ほど。昼食にグルメを堪能していた他、二郎系やホテルのビュッフェにもたまに行っていた。
信仰する宗教の活動拠点から定期券ルートが大きく外れていたため、活動に使った金に御利益が比例すると思い込んで無理な活動を繰り返し、そのストレスに耐えるために過食行動が続いていた。毎年1回の供養は上限(8万円)をやらせて頂いていたが、当時はそれを御利益への投資だと思っていた。
また、毎月ガジェットを買うことが多く、支払いが月平均15万円ほどになることも少なくなかった。当時スマホブームで、スマホを手に入れるためにドコモ3回線を持って携帯代が月4万円弱にまで至った。
この頃からアディクションに関する費用が増えたが、それでもガジェット代月平均3~5万を上回ることはほぼなかった。とはいえ、毎月金欠で貯金ができなかった。
趣味に金をかけることが至高であり、服に金をかける奴は馬鹿だと思っていた。私服は当時のオタクによくあるチェックシャツにブカブカのチノパン。
26歳の頃に会社が倒産。この頃によく覗き関連の交通費支出があった。
27歳平均4~6万円食費
交通費
支払い・納税
大学時代の反省を生かして身だしなみを整え就活するが、面接どころか書類すら通らなかった。バイトも受からなかった。
Adobe目的で職業訓練校に通うも1ヶ月で交通費が尽きたが、どうしてもAdobeは欲しかったので自転車で片道4時間かけて職業訓練校に通い(大遅刻多数)、アカデミック版の購入資格を得た。
すぐに就職できると見越してAdobe CS5と新しいPC(自作)をクレカで購入したが就職は決まらず手持ちのクレカはすべて強制解約クレカブラックとなり、返済の目処がまったく立たずビューカードのオペレーター女性にめちゃくちゃ怒られた。
御利益を狙うために執着を捨てようとして会社員時代に買ったガジェットやカメラを売り払ったが大した金にはならなかった。供養の参加額は1万円が精一杯だった。
仕事は警備員しか選択肢がなく、支社長のパワハラに遭って干され、年収80万円となって支払い(主に国保)ができなかった。
スマホ2回線とメインのガラケーは強制解約されて裁判沙汰となった。3キャリアはゴミだと悟った。
28~32歳10~12万円食費
支払い・納税
制作会社の面接を受けたところ、正社員ではなく業務委託として入ることになったが、単価が安く毎日終電まで残業しても月収10万円程度にしかならなかった。アダルトコンテンツ制作だった。
1年半で辞めたが仕事のあてがないので作業は在宅で続けることになったが、エンコード24時間体制のため家のブレーカーが落ちまくり仕事にならず収入は上がらなかった。
収入を安定させるには雇用を見限って起業するしかないと思い、ビジネススクールに通った。
学費が嵩んで止められたクレカと国保の支払いは滞り、父親の口座が差し押さえられた。父親に怒られたのでキレて世帯分離した。
年金も差し押さえ寸前まで行ったので、未納は納めたが以降の納付発生については放送大学に入って学生納付特例制度で37歳で障害年金受給まで逃げ切った。
交通費がなかったので思うように信仰活動できなかった。
収入を安定させるための救済に賭けて婚活したがうまくいかなかった。女性のほうが課金するタイプの婚活相談所に登録したが収入が少なすぎて垢BANされた。
33~34歳10~12万円食費
交通費
風俗
支払い・納税
婚活がうまくいかなかったので、童貞卒業のためソープに通った。童貞卒業後はお金がないのでソープ通いは吉原最安店で妥協した。そこで出会った女の子がお気に入りになり、その子を落として付き合うことを画策し、収入を上げる原動力にしようとした。ハプバーやマチアプもやったがうまくいかなかった。
「金持ち父さん」等のアムウェイ御用達の本を読んで、わざと女性に勧誘されに行って入会をちらつかせて交換条件でセフレを作ることを画策したが交通費がなくて実行できなかった。
「服を着るならこんなふうに」を参考に身だしなみを整えようとしたが服を買う金がなくて持続できなかった。
自転車旅ブログがきっかけでクロスバイクを買った。その前は弟の自転車を酷使して破壊したが弁償せず自分の自転車を優先した。
仕事は佐川の自転車便やポスティングをやったが収入が少なすぎて辞めた。風俗に行かなかった月は生活費が足りなくてメルペイで凌いでいた(これが後にクレヒス修行の成果として実りクレカが持てるようになる)。動画編集の仕事はPCが古すぎて続けられなくなった。この頃に朝の仕事を始めたのが現在も続いている。
35~36歳10~12万円食費
交通費
交際費
自転車パーツ
自転車にハマりロードバイクを購入した。しばらくしてUber Eatsが登場した。当時のエリアは東京23区のみだったため毎日都内に輪行したがしんどすぎて続かなかった。そこで自転車をアップグレードして負担を軽減することにしたが、約100万円かけてロードバイク3台体制を作った(パーツ購入元は主にメルカリ)頃には単価がありえない低さとなっていて自転車ではどう足掻いても稼ぎようがない状態になっていた。
強制解約クレカと税金の毎月の支払いに追われていた。
Rin氏にガチ恋してストーカー冤罪に遭ったが、お金がなくて弁護士に相談するも法的手段を取れなかった。
もしかしたら自分は発達障害ではないかと疑い始め、メンクリに行き発達障害を診断されて手帳2級を取得した。
37歳15~17万円生活費
交通費
交際費
自転車パーツ
SCAに繋がった。ビッグブックを正規に買う金がなくてメルカリで買った。
コロナ禍で持続化給付金100万円を手にし、一人暮らしを始めたが審査無しで入居するために家賃1年分をURで前払いする制度を使い65万円支払ったので、初期費用が足りず買えない家具や家電が一部あった。最終的に初期費用は家賃先払い含めて200万円かかった。主な費用は発達障害者の助けになるドラム式洗濯機や食洗機、アレクサといった家電だった。
障害年金も審査が通った。クレカも持てるようになった。信仰上で供養の上限が6万円に引き下げられたのはこの頃。上限の供養が出来るようになった。
38~40歳14万円生活費
交通費
フードデリバリーはエリアは広がったが単価は下がる一方で、特に自転車配達員への冷遇があまりにも酷すぎて続けられなくなり、生活保護を受給した。仕事しても意味ない(くらいの収入しか得られない)ので働く意欲が失せた。
供養は冬季加算の約6万円をそのまま充てた。その半年後、今の仕事(バイクでのポスティング)が見つかり収入が安定するようになった。
~42歳20~28万円生活費
趣味
PCパーツ
月収が(障害年金含めてではあるが)15年ぶりに20万円を超えた。アディクションとは関係なく趣味にお金をかけられるようになった(主に小林さんちのメイドラゴン関連)。
新しいPCを組んだ(Core i9-14900K、Ryzen7 9700X)。購入元は主にメルカリとアリエク。

以上に見られるように、アディクションへの浪費が極端に少ないのに生活が破綻している矛盾が人生の大半を占めている。

お金を使えない問題

「浪費しないのに破綻する」特殊な経済構造

この構造の原体験は、幼少期に「奪われる・失う」経験を積み重ねたことにある。弟に10年単位で金を盗まれ続けたことが経済的な安全本能を根底から破壊したほか、生育歴と相まって恐れの深層の階層(レイヤー)に入り込み、「奪われる=存在否定」の経験が「汚物前提」の生育歴と結びついたため、存在を証明することが目的の経済行動となってしまった。このため支出パターンは、

と、アディクションフェーズの三層構造と見事に一致する。物理的に何かを持っていることで汚物から脱出して存在証明を図ることができるとの生存戦略に基づいた経済行動を取ることになる。

「汚物に戻る」恐れがベースにあるので、お金の使い方が衝動的散財ではなくむしろ計画性・緻密性が高い。しかしなぜこれで破綻するのかというと、お金を使う計画性が恐れベースであるが故に使うべきところで使えないので稼ぐための基盤が育たず、収入を安定させることがそもそもできなかったからである。お金を失えば汚物に戻るから消費に失敗が許されなかったので支出そのものが恐怖となり、損したときのいわゆる「授業料」という考え方が受け入れられない。
恐れ由来の節約は正当にお金を使う機会を奪った。

ことによって、

という、稼ぐ基盤が育たないために破壊型ではなく停滞型の静かに進む経済的破綻が起きた。

アディクションに使う費用は「目的のアリバイ化」

私はアディクションを使うとき、アディクションそのもの(例えば風俗やアダルトコンテンツ)に衝動的に課金することはない。しかし覗き行為を画策する際に合法性の確保が至上命題となるため、儀式化された準備・移動・待機・確認の費用として交通費をアディクションに使った。また、合法性確保のためアディクションの目的を消す必要があり、何か別の目的にすり替える必要があった。
そのため鉄道趣味や自転車趣味がアディクションの正当化に使われた。アディクションがメインの目的であるが故にそれを誤魔化すには趣味を本気で楽しむ必要があり、目的アリバイ*1作りのために旅行計画を立ててアディクションと関係ない列車や宿を予約し、観光を計画の中に組み入れて写真や動画撮影を行った。さらにそれらは音MAD制作などの動画編集や同人誌制作に使われた。覗き目的を鉄道と自転車趣味で徹底的に正当化するために時間とお金の使い道が撮影機材や動画編集スキル獲得にまで及んでいた。
なお、スポットチェックの段階であってもアディクションに関する撮影は一切行わない。それは合法性を欠き、目的のアリバイ作りに反するからである。

さらに、旅行計画を立てるに当たってはASDの特性による計画性の発揮が強く影響したが、この特性がアディクションにハイジャックされて問題行動の隠れ蓑を作ることに寄与し、問題を不可視化させていった。また、趣味を楽しんでいる間はASD特性のハイパーフォーカスモードが働いているが、これはアディクションに特性がハイジャックされて問題行動の正当化に集中力を発揮している状態である。
この「儀式」は趣味が本当に好きだから成立してしまった。まさに「趣味」と「ASD特性の計画性」という本来健全であるものをアディクションが乗っ取った(ハイジャックした)のである。ゆえに趣味とアディクションが切り離せなくなってしまい、覗き行為の「最初の一杯」が時刻表を見る・地図を開く・観光地を調べる・自転車を整備する等の趣味としての行動となったのでスリップが定義できない。

小4の頃に覗き行為がバレた際、父親に「(覗き以外の)目的意識をよく考えろ」と言われた経験がある。私は意識レベルではこの意味を正しく理解していたはずだが、小3で既にいじめのトラウマ反応が定着してしまっていたため、深層の生命レベルのレイヤーに「目的さえあれば許される」と刻み込まれてしまったため、無意識的に罪悪感を回避する生存戦略が身についた。深層レベルでの行動のため、認知の歪みやスピリチュアルバイパス、短絡的思考とは異なる。

「汚物に戻る」恐れは私が本来持っている計画性をも乗っ取ったため、生活が破綻するのを回避するために使われた。その結果、依存行為さえも計画的でないと実行できない性質になった。汚物化の恐れから衝動的に金銭を使うことができず、安全な依存しか許容しない従属型生存戦略の特徴として現れた。恐れの感情が強すぎるため、依存行為が冷静かつ計画的になったのである。
そのため、旅程がアディクション準備かどうかにかかわらず料金の最適化が行われ、節約により安心感を得ようとする傾向が強く表れる。節約そのものが恐れに乗っ取られてしまっている。

覗きや恋愛依存の最終目標が存在証明であるため、趣味や生活の領域がアディクションに巻き込まれて目的を多層化する「目的ロンダリング」が私の特徴となった。これは他の依存症者には見られない。人生の前提に「自分が汚物であること」が居座ってしまっているため、目的をミルフィーユのように多層化しないと存在証明が成立せず、この本懐を遂げるために金銭が使われ、あるいは使えずに成長が停滞して収入を閉ざす経済的破綻に向かっていくのである。

お金を稼げない問題

恥と恐れを根源とした職業構造による低収入化

私の持つ恥と恐れの構造は職業選択をも不自由にしてきた。それは選り好みなどといった単純なものではなく、存在証明の生存戦略が脅かされる恐れが深層まで入り込んでいたことによる。そのため職業選択が

の二極化してしまった。20代後半の頃に「雇用自体が信用できない」とフリーランスに転身するもそれが破綻して生活保護受給に至ったのはこのためである。
今までに仕事を辞めた理由は、新卒で就職した会社の倒産を除いてはすべて低収入が原因である。それは低収入が私の存在自体を脅かす事態にまで及んでいるからである。それは現実に、国保の差し押さえや債権回収会社への10年単位での支払いといった形で現れた。
実家にいた当時すらも生命の危機レベルのトラウマを刺激されたのみならず、ASD特性の計画性が瓦解することも「存在否定」として大きく働いた。人生展望が成立しないことが即存在否定となるため、低収入の仕事を最も警戒することになった。

「姿そのもの」で選考を通過できない

私は基本的に面接で緊張することはない。一見それは良いことのように思えるが、実際は緊張しないこと自体が深層のトラウマを反映している。
心の健康な人が緊張しないのは他者との境界線を引けるからである一方、私の場合は幼少期から不特定多数の他者に境界線を脅かされて常に晒し者にされていたため、「恥をかくかもしれない」本来緊張すべき場面が生活のデフォになっている。これは存在否定トラウマによって恥があまりにも強すぎて「生きていること自体が恥」となってしまい、個別の恥が区別できなくなってしまったからである。
書類選考においても同様のことが起きている。文章から人となりが滲み出たりすることがあるが、そういったことが書類選考を難しくしている可能性が大いにある。職務経歴書はその人の写し鏡として採用側に伝わり、文面の「格」が低く見積もられたと推測される。

この「生きていること自体が恥」の原羞恥は私の人生の全方位を貫いている。

このように恥を覆い隠す言動は人生を破綻させる要因となった。恥を覆い隠す言動は逆に恥を体現することとなる。「生きていること自体が恥」の原羞恥によって「姿そのもの」で舐められ、選ばれないかあるいは選ばれても搾取されることになるのである。

性被害者と同じ構図の働き方

「生きていること自体が恥」との刷り込みがキャリアに及ぼした影響は、在職でも大きく現れた。私の原体験である女子からのいじめは生育歴でも述べたように存在自体を繰り返し否定される「象徴的暴力」であるが、存在自体の否定という尊厳を奪われるいじめのトラウマは性被害に匹敵する重症である。
SCAの文献には、

境界線が絶えず無視されている家庭では、 近親姦は珍しいことではない。境界線を無視した最も極端なかたちは、⼤⼈と⼦どもとの実際の性的関係であるが、虐待の⼤多数の内容は(性⾏為を伴わない)情緒的な近親姦である。
 たとえば、秘密を分かち合う友⼈やパートナーのように、慰めを我が⼦に求める親は、感情的な近親姦にふけっているのである。このような親密さと責任の重さは、どんなに頑張って応えようとしても、普通の⼦どもの理解⼒や対処⼒を超えている。その結果、⼦どもは幼年時代を奪われ、この種の虐待の犠牲として、後の⼈⽣で⼤きな対価を払うことになる。

とある。この理屈で言えば私が学年の女子全員から汚物扱いされていじめられたのは情緒的レイプであり、私は小学校6年間ずっと不特定多数の女子からレイプされてきた性被害者であることになる。
これはトラウマの観点から見ても現実にその通りである。実際の性被害者は身体を汚されたトラウマに苦しんでいるというが、私もそれと同様のトラウマ構造があり、それによって不本意な職業を選択させられているのである。

新卒で勤めた会社がAV動画編集であり、その会社の倒産後もAV動画編集以外の仕事には受からなかった。また、その会社の退職後も在宅でAV動画編集の仕事を続けることになった。通算8年間はAV動画編集の仕事をしていた。
これは性被害経験のある女性が昼職に馴染めずキャバや風俗などの夜職で働き、昼職に行っても夜職に戻ってきてしまうことがあるのと似ている。性を扱う仕事は境界線の曖昧な人が働くことが前提化されているので、コミュニケーション能力に難があるタイプには馴染みやすい。境界線が曖昧だからこそ性を他人に差し出せる点が、私が「情緒的性被害者」である証拠のひとつである。
そしてまた、昼職に馴染めないのも同様である。大学時代は駅のバイトに適合したが普通のバイトはまったく受からなかったり、社会人になっても朝の仕事は続けられるが昼間の普通の仕事は面接が通らず、個人事業主の選択肢に狭められる傾向が強いのも夜職女性と似通っている。そこには昼職が恥を晒し続ける場として機能してしまう背景がある。

性被害経験者に見られる職業選択パターン

境界侵犯型の性被害を受けた人が陥りやすいのは以下の通りだという。

  1. 「自己が恥」になる
    • 自己価値が最低ラインまで落ちる
  2. 他人の前で“普通の自分”を保つことが極めて困難
    • 緊張・恐れ・罪悪感・自己否定が暴走
    • 昼職(安定した対人関係が必要)に馴染めない
  3. “存在を隠せる仕事”を選んでしまう
    • 内面の価値で評価されない
    • 深く関わらずに済む
    • 境界線が曖昧でもなんとかこなせる
    • ある意味「自分が消えてもいい仕事」

「存在=恥」の原羞恥が土台にあるゆえに他者の存在そのものが脅威であるため、境界線の引ける他者が存在する昼職は自分が恥を晒し続ける場所であり、存在するだけで裁かれる危険を伴い到底耐えることができない。しかし性的資本を差し出す風俗やキャバ等の夜職は、自分が見られる側のようでいて見る側に回ることができるため、恥の主導権を取り戻して他者の恥を握ることができ、恥を相殺することができる。こうして他者の恥を握り乗っ取ることで救済を得ようとする構造が働く。
私にはこれがAV動画編集の仕事で現れた。配信サイトのユーザーの性癖を握ることができるのはある種の優越感のような気がしていた。このため、現在もアダルトコンテンツ制作に戻りたい感覚があったりする。

生存そのものが原羞恥になっている感覚では、人生そのものが恥を晒すものであるという本来的な環境に耐えられない。ゆえに私は恥を晒す場の最たるもののひとつである面接で感情をフリーズさせることで緊張しなくなり、正規雇用は評価によって常に恥をジャッジされるシステムである故に受け付けなかった。現在でも正社員だけはまっぴら御免である。
さらに私の場合、弟に金を奪われ続けたことが原羞恥に上乗せされ、金を稼ぐことが恥と結びついてしまった。このため、性を差し出す仕事をしていながら人並みにすら稼げないという、性被害者と同じ職業構造を持ちながら貧困のままで固定され搾取される側になってしまった。
そして、恥を晒す場である正規雇用のみならず恥をコントロールするAV動画編集(私にとっての夜職)も持続できず、一人で仕事をして恥を隠し通せる個人事業主としても持続が不能で生活保護を受給するに至った。

私の職歴はそういったところでも、AV女優が引退後のセカンドキャリアで会社勤めを選択せずフリーランスとして生きる構図に酷似している。夜職女性が昼職に定着することが難しく、間接的に夜の世界でフリーランスを続ける生き方もこれに通じるものがある。
将来生まれてくる子に性の仕事の経歴をどう説明するかの問題が上がってくるのは、恥を覆い隠す生き方の象徴のひとつであろう。私の仕事観は、女子からの情緒的レイプ被害と弟からの盗難被害により性(根源的には「性=生」)を軸にした働き方で稼ぐのも稼げないのも恥になるダブルバインドをいかに覆い隠すかという自己矛盾に囚われているのが実態である。


*1 アリバイとは法律用語で「現場不在証明」、つまりアリバイ作りとは場所を誤魔化す行為であるが、私はアディクションを使うにあたって場所ではなく目的を誤魔化す必要があった。

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